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伝説の勇者なりきり部の奴ら:第5話 年齢=彼女いない歴

「ちょっ! 何もひかるちゃんの前で言うことないだろ!」

 俺は顔を真っ赤にさせてキョドる。もう、キョドるしかないだけどさ。感動の走馬灯の回想録は、こうして母親みゆの手によって台無しとなったんだよ。

「マーくんって大きな子供みたいですね」

 なんて、くすくすと笑いだすひかるちゃん。

 

「ひかるさん、高校生にもなって未だにおねしょなんて地球上でマモルぐらいよ」

 母親みゆは俺のぬれぬれのパンツを持って止めを刺しにきやがった。もうね、地球最大の刺客はあんたしかいないよ! ひかるちゃんとの良い雰囲気ぶち壊しじゃねぇかよ。

 

 ばれないようにこっそりね。洗濯カゴにぬれぬれパンツを入れたのにさ。石油を掘り当てるみたいに引き当てるんじゃねぇよ。お前は石油王か! ええい、今日から石油王みゆと呼んでやんよ。

 

 ひかるちゃんにね。俺がおねしょしていることがばれてしまったじゃねぇか。あぁ、地球のはてまで逃げだしたい気分だよ。でも、ひかるちゃんから逃げたらいっしょに仲良く高校に登校できない。そんなジレンマと戦いつつさ。

 

「まぁ、おねしょはわざとだよ。わざと。ギャグだから、あはははは」

 なんて、ごまかして白々しく笑ったんだけどね。白い目が俺を突き刺すように見ているんだよ。うげっ! 母親みゆの視線だ。人を抹殺しかねないビームを俺に向けるな、向けるな。お前はサングラスとったらビーム発射しちゃうミュータントかよ。

 

 母親みゆの視線に耐えかねた俺はさ。視線という名の光線を振り払うかのようにね。手をパタパタさせると、

「ひかるちゃん、学校へ行こう。遅刻しちゃうよ」

 なんて、半ば顔をひきつらせながら言ったんだ。

「うん、マーくん、もうおねしょしちゃだめだよ。うちのポチだって、ちゃんとお散歩の時しかおしっこしないお利口さんなんだからね?」

 なんて、ひかるちゃんが悪気なく言ってきたんだよ。はい、そうですか。俺は犬以下ですか、そうですか。そうきますかね、ひかるちゃん。

 

 でもポチになったら毎日ひかるちゃんとお散歩できてさ。ぺろぺろぺろ……。いかん、またあらぬ妄想をしてしまう。俺の妄想という名の異能が発動しそうだよ。

 

 ぺろぺろぺろ……。

 

 いかん、あらぬ妄想しょうどうが俺を支配しようとしている。

 

 ぺろぺろぺろ……。ぺろぺろぺろ……。

 

 だめだって、こんな現実逃避は――

 

 ぺろぺろぺろ……。ぺろぺろぺろ……。ぺろぺろぺろ……。

 

「マモル、何にやけてるの? キモイから、早く学校行きなさい!」

 なんて、俺のあらぬ妄想を母親みゆの発言で目を覚ましてもらったんだけどね。

「キモイからは余計だと思うんですけど」

「口答えしないで、早く行きなさい! キモイ」

「だからキモイは余計でしょ」

「マーくん、早く行きましょう。キモイ」

「ほら、ひかるちゃんまで真似しちゃったじゃんか」

 

「「キモイ」」

 

「2人そろって言うんじゃねぇよ。俺の存在自体がキモイみたいじゃねぇか。は~い、生まれてきてすいましぇーんっと――」

 

 なんて、俺は両目をより目にしてさ。おどけたポーズを作ったんだけどね。ひかるちゃんと母親みゆは無言のまま俺を見ているんだよ。はい、そうですか。失笑ですか、そうですか。俺の自虐が暴発さくれつしたところで、まぁ、本当にこれ以上家にいるとさ。いい加減遅刻してしまうからね。

 

 俺とひかるちゃんは玄関で靴を履いて外にでることにしたんだよ。母親みゆがさ。

「いってらっしゃ~い」

 なんて、手を振ってくれて送りだしてくれたんだ。父親のぼるが亡くなってね。神宮寺家が生活できるのはさ。皮肉にも父親のぼるの小説の印税なんだよ。そのおかげで俺たち親子は路頭に迷わなくてすんだんだ。

 

 俺も母親みゆも感謝しているよ。空を見上げると空は青かった。俺の朝はいつも通りこうしてはじまっていくんだ。



 神宮寺マモル17歳。



 年齢=彼女いない歴絶賛更新中。ずっと更新中にはさせないんだからね。ひかるちゃん、よろしくお願いします。頼んますよ。俺を唯一救うことができるのはひかるちゃんだけなのです。こうして、俺の高校生活ライフがはじまっていく。




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 いきなり突然だけど、かれこれ2日前の話になるんだ。場所は天空界と呼ばれるところで地球ではありません。天空界にはたくさんの神々が住んでいるのです。



 神々が戯れて、神々が会話してさ。天空界は神々にとって憩いの場所でもあるんだよ。ぶっちゃけて説明すると神々の移住区すまいといったところなんじゃないかな。神々がどのような生活をしているのか。至って人間と同じような生活をしているんだよ。もうね、寝るし、食べるし、泣き笑いもするからね。

 

 それでいて時に神様はさ。神様らしくもなく子供っぽい一面も平気で見せるんだよ。何せ、人間は神様を基に創られたのだから致し方ない。しょせんは神様も人間も同じようなものなんだよ。

 

 そんなある日、天空界にある真っ白な宮殿の一室に怒鳴るような声音が聞こえてきたんだ。

「作家として大成した神宮寺のぼるが物語を未完のままにして死んでしまったのか! 何ということだ。それではわらわとの契約を破りおったのか! あれほど約束を破ったら大変なことになるよと言ったのにぃ~!」

 

 なんて、とある文学好きの神様は子供のように足をじたばたしてさ。地団太を踏んだんだよ。まるで駄々っ子のように床に倒れて手と足をバタバタさせたかと思うとね。

「うぇーん、うぇーん」

 なんて、可愛げのある声音が宮殿内の一室を響き渡ったんだ。もうね、それは神様が神様らしくない一面を見せた最初の瞬間であったんだ。

 

 人間がそんな神様の姿を見たら失望してしまうかもしれない。中には見た目がロリータ神様の容姿を含めてさ。そのような幼稚な姿にキュンと萌えてしまう神様や人間もいるかもしれないが……。好みは人それぞれ、神それぞれということでね。

 

「そんなに嘆かないでくださいませ。エレナ様とある文学好きの神様は神様なのですから、もっとこう神様らしく威厳に満ちて堂々としていてくださいな」

 えっ! 何かのコスプレなの? と思わせるほどのさ。胸元が大きく開いた真っ白なワンピースを着た天使が神様エレナをたしなめたんだ。

 

「天使ナターシャよ。いやじゃ、いやじゃ、いやじゃ。わらわはあの神宮寺のぼるの書く物語が好きだったのじゃ。今じゃもう若者じゃなくりっぱなおっさんで子供もいるようだけれども、我ながらいい物語を書くと一読者として楽しみにしていたのにぃ~。だからあやつに天地創造の能力も分け与えたのにぃ~! 『はてしない英雄物語』の続きが読みたいよぉ~!」

 

 なんて、床を転げ回るように暴れながら言うは神様エレナはね。ただをこねる子供のように暴れ転げたんだよ。

「まぁ! 天地創造の能力を与えてしまったのですか!」

 天使ナターシャは背中にある羽をパタパタさせてさ。それはもう飛び上がって驚いたんだよ。地団駄を踏んでいた神様エレナは真顔になり、

「ん? そんなに驚いてどうしたのじゃ?」

 なんて、天使ナターシャに聞き返したんだよ。

「どうしたも何も、エレナ様は、あの方に天地創造の能力まで与えたのですか? 何てことをしてしまったのですか! それじゃ、あの方が今まで創作した物語は全て新しい天地創造の世界ということになります。それがどういうことを意味するのか分かっておいでなのですか?」

 

 天使ナターシャはあまりの驚きで羽をパタつかせたようでさ。少し上の方に飛びすぎてしまったんだよ。このまま飛び続けたら宮殿の天井に頭をぶつけてしまうことだろうよ。

「天使ナターシャよ、飛ぶでない。飛ぶでない。これじぁわらわの声もそなたの声も聞こえまい」

「失礼いたしました。あまりにもエレナ様が驚かせる言動をはかれるものですから」

 天使ナターシャは羽をパタつかせるのをやめてね。急降下して宮殿の床に着地したんだよ。

 

「そうかのう。いろいろな世界があっていいと思うのじゃ。この地球ちきゅうにしろ、わらわの父上が天地創造したものだしにゃ」

「何がにゃですか。エレナ様、おふざけはおやめください(でも子猫みたいで可愛い)。エレナ様の父上はともかく、どこの馬の骨とも分からない者に、天地創造の能力までお与えになるのが問題なんです!」

 天使ナターシャは頬を膨らませたんだけどさ。天使ナターシャは神様エレナの使いである前にね。神様エレナのじいや的な存在なのである。と言っても、神様エレナも天使ナターシャも容姿は可愛らしい女性なのだが……。

 

 神様エレナはあくまでも悪気のない態度でさ。寝そべっていた身体を起こしてね。さっそうと立ち上がったんだよ。

「でも、神宮寺のぼるの作りだす物語は逸品じゃ。それが天地創造の能力で新しい世界が日々創り出されるのじゃぞ。夢とロマンを感じるのう」

「お言葉を申しあげますが、天地創造の能力を使って物語が未完になってしまった場合、どのようなことが起きるのかご存知なのですか?」

 天使とは間逆の悪魔のような瞬きをして天使ナターシャは神様エレナを睨みつけたんだ。

 

「そんな怖い顔をするでない天使ナターシャよ。そんなんじゃいつまでたっても殿方との良き出会いはないぞよ。そなたの立派な胸も宝のもちぐされじゃ」

「エレナ様、話をはぐらかさないでください!」

 天使ナターシャは顔を真っ赤にさせてね。また飛び上がりそうになるのをさ。何とか理性が止めさせたんだよ。その分、胸は大きく上下にぷるんと揺れ動いたが……。



 ぷるるんと――



「つい、悪ふざけは過ぎたかのう。すまん、すまん、未完になった物語は魔界の呪いがかけられ、魔王が復活することぐらい知っておるわ!」

 そう言うと神様エレナはね。今までの強気な発言とは裏腹にしょんぼりと下を向いたんだ。宮殿の床にはぽろぽろと水滴が落ちるように神様エレナの涙がこぼれ落ちていく。

「エレナ様、泣かないでくださいませ。泣かないでくださいませ」

 天使ナターシャはそっと神様エレナを優しく抱きしめたんだ。神様エレナは、

「うぇーん、うぇーん」

 なんて、せきを切ったように泣きはじめたんだよ。

 

「わしは人間界に舞い降り、神宮寺のぼるに書く才能をやろうと言ったけれど、本当はそんな才能なんて与えなかったのじゃ。他力本願の才能なんて邪道だしチートだしのう。わしは神宮寺のぼるの作品がレーベルに合う賞の出版社の投稿先に送る選択眼さいのうと天地創造の能力を与えただけじゃ!」

 

第6話 そんなところを触らないでを読む