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伝説の勇者なりきり部の奴ら:第6話 そんなところを触らないで

「エレナ様、分かっていますとも分かっていますとも、ナターシャはちゃんと分かっていましたよ」

 天使ナターシャは神様を優しく撫でたんだ。神様エレナは天使ナターシャの豊満すぎるほどのさ。胸をぷにっと触ってきたんだよ。

「いや~ん。エレナ様、そんなところを触らないでくださいませ」

「よいではないか、よいではないか。減るものでもないしのう。わしはこうしていると落ち着くのじゃ」

 なんて、神様エレナは天使ナターシャの豊満すぎるほどのものを触りまくったんだよ。それはもう、ぷにぷに、ぷにぷにと……。

「もう、エレナ様ったらっ、いやん……」



 つかの間の神様エレナと天使ナターシャのスキンシップの後……。



「いくら神様の能力を与えても人間には寿命があるのをうっかり忘れていたのじゃ。神宮寺のぼるは最後まで物語を完結させる男じゃった。けれども寿命には勝てなんだ、勝てなんだ……。神宮寺のぼるに不老不死の能力も与えればよかった。うえーん」

「エレナ様、エレナ様、泣かないでくださいませ。それに不老不死の能力なんてそれこそチートすぎますよ」

 

 天空界の宮殿の一室でね。おそらく1000年以上は生きていると思われる神様エレナと天使ナターシャがさ。

「「不老不死の能力なんてチート!」」

 なんて、矛盾しているにもほどがある会話がされていたことは神のみぞ知る。



 そして、しばし時は流れ……。



 一通り泣き止んですっきりした神様エレナは、大好きな天使のくちづけチョコレートをほうばりながらね。

「そうじゃ、天使ナターシャよ。もごもご、彼女もごもごを連れてもごもご……」

「エレナ様、食べながらしゃべられては何を言っているのか分かりません。しゃべるか食べるかどちらかにしてくださいませ」

「それは甲乙つけがたい、もごもご、話じぇ……」

「…………」

 

 天使ナターシャはややあきれ気味にさ。神様エレナを見ているんだけどね。神様エレナは何を思ったのか、

「そちも食べたいのか?」

 なんて、残りひとつしかない天使のくちづけチョコレートを天使ナターシャの口元に持っていったんだよ。

「エレナ様の手からいただくなんて、そんな光栄なこと……」

 天使ナターシャが言い終わる前にさ。神様エレナは強引に天使のくちづけチョコレートを天使ナターシャのぷるるんとした唇に押し込んだんだ。

 

「あぐっ」

 もぐもぐもぐ。

 もぐもぐもぐ。

 

「エレナ様、美味しい!」

 強引な神様エレナの行為に天使ナターシャは頬を赤らめながらもね。天使のくちづけチョコレートを食べたんだよ。

使(ナターシャ)が使のくちづけチョコレートを食べている。これは共喰いじゃな」

 なんて、神様エレナはドヤ顔で言ってきたんだ。

「ごほっ、ごほっ、エレナ様、何ということをおっしゃるのですか?」

 共喰いと言われてさ。天使ナターシャは咳き込んで天使のくちづけチョコレートを喉につまらせてしまったんだよ。

 

「共喰いじゃ、共喰いじゃ」

 咳き込む天使ナターシャの姿にテンションが上がる神様エレナはね。先ほどまで泣いていたとは思えない様子だったんだよ。そして、神様エレナがこのように相手をちゃかして元気になるのはさ。何かしら閃いたり名案わるぢえを考えついたりする時なんだよ。

 

 天使ナターシャは神様エレナの挙動に関してはね。長年、じいや的な存在であるから察しがついたんだよ。

「エレナ様、さては何か策をお考えで?」

「実はのう、天使ナターシャよ。ごにょごにょごにょ……」

 神様エレナは誰にも聞かれないように天使ナターシャの耳元で囁いたんだ。

 

「まぁ! 天界魔界大戦争さいごのせいせんの時に大活躍した伝説の英雄ヒメ殿を!」

 驚きのあまり天使ナターシャはでかい声をだしてしまった。

「そう驚くでない。ヒメ殿はわらわの直属の臣下であり、困った時の神頼み的存在じゃ。神が神頼み。プププ……」

 なんて、神様エレナは親父ギャグのようなダジャレを言ってさ。自ら笑ってしまっているんだよ。

 

 おそらく神様エレナは笑いの沸点が低いと思われる。天使ナターシャはと言うと、

「あひゃひゃひゃひゃ、あひゃひゃひゃひゃ」

 なんて、腹をかかえて笑っているんだよ。もうね、天使ナターシャはもっと笑いの沸点が低いと思わざる得ない。要するに神様エレナと天使ナターシャは似たもの同士なのである。



 しばし腹をかかえて笑い合う神と天使の時間が流れ……。



 天使ナターシャはやらの準備に取りかかってね。一見、天空界は平和なようにも思えたんだ。

「父上にはわらわの失態を知られたくないしのう」

「エレナ様、それでは内密に事を進めるということでしょうか?」

「そういうことじゃ!」

 神様エレナと天使ナターシャの企みも含めた密談が行われる最中、宮殿の一室の扉が開かれたんだ。

 

「ただ今、エレナ様のお呼びに預かり参りました」

 さっそうと歩きながらひとりの女性は神様エレナと天使ナターシャに近づいていった。その歩き方は華麗な一族を思わせるような優雅さがあった。

「おぉ将軍よ。よくぞきてくれた」

 

 感激のあまり神様エレナの大きな声音が宮殿を響き回ったんだけどさ。

「いや、私は元将軍。今は引退して幼稚園の先生ですわ」

 なんて、女性は直立不動のまま表情ひとつ変えずに言ったんだよ。

「そうだったの、そうだったの。元将軍のそなたを呼びだしたのは訳があるのじゃ。そなたにわらわの頼みを聞いて欲しいのじゃ」

「私に可能な限りであれば何なりと」

「やったー!」

 それを聞いた神様エレナはね。すぐさまこれまでの経緯を話したんだ。




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「つまり、未完になった物語の呪いで魔王の復活。それをエレナ様の父上に悟られずに極秘で解決せよということでしょうか?」

 女性は神様エレナに質問したんだけどさ。

「そういうことなのじゃ。わらわの頼みをもちろん聞いてくれるかのう」

 期待に胸を膨らませながら神様エレナは女性を見つめたんだけどね。

 

 もちろん天使ナターシャも期待の眼差しで女性を見つめたんだよ。しかし、女性はばっさりと、

「私は将軍職を引退し、今はしがない幼稚園の先生です。私が幼稚園の先生を辞めたら誰があの子たちの教育や面倒を見るのでしょうか。未来ある子供たちの教育は大事なこと。よって辞退します!」

 なんて、間髪入れずに断ったんだよ。

 

 ひるんだ神様エレナはね。なおも食い下がったんだよ。

「そこを何とか?」

「いえ、だめ」

「そんなこと言わずにそこを何とか?」

「無理」

「一生のお願い?」

「そんな手には乗りませんわ」



 しばし、そのような神様エレナと女性の押し問答が続き……。



「えぇーい! 神が神頼みしているのじゃぞ。神が神頼み。プププ……」

 なんて、またもや神様エレナは親父ギャグのようなダジャレを言ってね。自ら笑ってしまったんだよ。つられて腹をかかえて笑いだす天使ナターシャ。

 

 女性はと言うとさ。

「ウヒョヒョヒョヒョヒョ!」

 なんて、奇妙な笑い方をしているんだよ。

 どうやら女性もまた笑いの沸点が低いらしい。もしくは天空界では一流のジョークとして通ずるものなのかもしれない。神が神頼みのダジャレは王道であり鉄板ネタなのかもしれないが……そこは定かではない。

 

「久しぶりに腹を抱えて笑った。楽しく笑わせてもらったお礼として、エレナ様の頼みを聞き入れます!」

 なんて、女性は元の無表情を思わせる面持ちで言ったんだ。決断を覆すほど神が神頼みくどきもんくの威力は天空界ではすごいらしい。いったいどこがすごいのかは別として……。

 

「やったー!」

「エレナ様、やりましたね」

 手と手を取り合って喜び合う神様エレナと天使ナターシャ。

「ただし、エレナ様、条件があります。私の代わりになる幼稚園の先生の派遣を!」

 女性は条件を提示し、腕組みをしたんだよ。

 

「ですが、あそこの幼稚園は戦闘の素質のあるエリート中のエリートが戦闘を学ぶべく通う特殊な幼稚園ですし、普通の先生ではこなすことができないかと……」

 なんて、喜びもつかの間、天使ナターシャは慌てながら答えたんだけどね。

「天使ナターシャよ、そちが代わりをすればよい? たしか幼稚園の先生の資格を持っているよのう」

 なんて、神様エレナはいたずらっぽく天使ナターシャに言ったんだよ。

 

「無理、無理、無理~! エレナ様、私なんかがあそこの幼稚園の先生になったら園児にあっという間にやられて死んじゃいますよ~」

 なんて、天使ナターシャは飛び上がりながらも全否定したんだけどさ。本当に本気で嫌がっているようなんだよ。

 

 神様エレナは嫌がる相手を見るとね。ますます相手を追い込みたくなる生粋のサディスティックな一面があるようでさ。

「天使ナターシャよ。そなたは本日付で天界天下一幼稚園バトルスペシャリストの先生じゃ!」

「エレナ様~、嫌です~」

「嫌がるそちの顔は可愛いのう」

「いや~ん」

「もっと、もっと困らして可愛い顔を鑑賞したいのう」

「そんなこと言ったらどうにかなってしまいますぅ……」

 

 まるで砂浜を素足のままね。あははと追いかけっこをして駆け回るさ。付き合いたてのカップルのようなイチャつきを神様エレナと天使ナターシャは戯れるように行っているんだよ。でも、神様エレナはこれだけは天使ナターシャには譲れないという感じでね。

「天使ナターシャは本日付で幼稚園の先生に決まりじゃ!」

 必死に嫌がる天使ナターシャをもろともせずにさ。強引な神様エレナの取り決めにより、天使ナターシャは代打で天界天下一幼稚園バトルスペシャリストの先生になることが決まったんだ。

 

 一方、女性はと言うとね。神様エレナと天使ナターシャの一連のやり取りを冷ややかに見つめつつさ。

「具体的な指令内容をお聞かせください」

 なんて、無表情のまま淡々と言い放ったんだ。天使ナターシャもさっきとは打って変わって引き締まった表情となってね。

 

「ヒメ殿、指令内容でございますが、資料によりますと神宮寺のぼる死亡により未完となった『はてしない英雄物語』が呪われ、魔王復活の兆しあり。また神宮寺のぼるのご子息である神宮寺マモルは神様の血を引いている疑いがありますので、神様の能力を保有している場合は魔王の標的になる可能性がありますので速やかに保護対象とし、神様の資質があるか否か見極めてもらいます。以上の任務内容は、くれぐれもエレナ様の父上には知られないように極秘対応をお願い申しあげます!」

 

 なんて、任務内容を天使ナターシャはヒメに伝えたんだ。神様エレナも一連の指令の流れをうなずきながら聞いていたんだけどさ。

「くれぐれもわらわの父上には知られずに任務を遂行するのじゃ」

 神様エレナは念には念をという感じで、少し悪びれた感じで言ったんだ。

 

「イセッサ! 任務承った!」

 ヒメは直立不動のまま敬礼をしたんだけどね。天使ナターシャは神宮寺家の詳しい資料の入った封筒をヒメに渡してさ。

「任務はたった今からはじめてもらいます」

 なんて、告げたんだ。神様エレナはそれに被せるようにね。

「天使ナターシャよ、幼稚園の赴任はたった今からはじめてもらうぞよ」

 なんて、意地悪く告げたんだ。

 

 天使ナターシャは顔面蒼白になりながらも弱々しくさ。

「……はい、分かりました」

 としょんぼり、うなずいたんだよ。



 こうして、天空界の宮殿のとある一室にて秘密談義が行われたのであった。




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 秘密談義後、任務を承った女性ことヒメは旅のしたくをするために自室に戻っていた。何ということだ。何という運命的な出来事だ。

 

 隠れ地球ちきゅうファンだった私が任務とはいえ地球に行くことができるなんて。

 

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