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伝説の勇者なりきり部の奴ら:第8話 この娘は天然

「いや、その、あの……」

 何かしら言い訳を考えようとしたらね。しどろもどろになってさ。言葉が浮かばないんだよ。もうね、俺はそこまで頭の回転は速くないことが分かったよ(妄想の回転は早いけどな)。

 

 あぁ、ひかるちゃんの揺れ動くたわわを見ていたことがばれた。

 

 ばれた、ばれた――

 

 何という黒歴史のはじまりだろうか。あぁ、ああ無情……。このままこの場から立ち去って逃げてしまいたい。でも、逃げたら俺が悪いことしてましたと証明するようなものだからね。逃げたくても逃げれないじゃねぇか。

 

 どうする?

 アイフル?

 意味不明な単語勃発。

 そんだけ俺はテンパっているしさ。頭の中はショート寸前なんだよ。

 

 あたふたと焦る。

 てへぺろ。

 意味不明なごまかしって効果ないよな。

 何してんだよ自分。

 

 ひかるちゃんが俺を見る真っ直ぐな視線が痛いんだよ。結局のところはさ、俺はしょんぼりしてしまってね。下を向くしかなかったんだよ。何故かひかるちゃんもいしょになって下を向いたんだけどさ。あっち向いてほいでね。ほーいの方向に絶対いきそうなつくづく天然少女ひかるちゃんだよ。もうね、何という摩訶不思議少女なんだ。でも、今はそんなことを妄想している場合じゃなかったな。

 

「あ!」

 下を向いていたひかるちゃんはさ。ふいに叫んでしゃがんだんだよ。何この天然行動フラグはと思いつつね。いっしょになって俺もしゃがんだんだよ。もうね、なるようになりやがれって感じだよ。そんな俺の思考とは関係なく、ひかるちゃんは優しく俺に微笑んだんだ。

「マーくんって優しいんだね」

 なんて、言ってきたんだよ。

「え?」

 この天然娘の言動意味不明なんですけど! 俺は半ばキョドりながらもね。あたふたしているとさ。ひかるちゃんは道路をまっすぐに指差したんだ。俺は指差された道路を見るとね。蟻の大群が行列を作って行進しているんだよ。

 

「マーくんは蟻さんを踏まないように下の方を気にしながら歩いていたんだね。それって地球に優しいよ。エコだよ。蟻エコだよぉ」

 おぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! おぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 何という幸運。何という奇跡。時代は俺に味方したよ。あとひかるちゃん、エコの意味間違っているから。蟻エコって何よ?



 この幸運なるロジックを説明しよう!



 ひかるちゃんよりも背の高い俺はさ。ひかるちゃんの2つのぷるんぷるんと揺れ動く未確認物体おっぱいに目を奪われてね。その揺れの行方の謎を追っていたんだよ。まるで隕石落下はUFOに間違いないと断言する人みたいにさ。

 

 当然、ひかるちゃんのたわわに実った未確認物体おっぱいに俺の視線が向くことになる。ここでひかるちゃんはね。俺の不自然な視線の矛先の行方を追ったんだよ。ひかるちゃんのたわわに実ったものに俺の視線が向けられていることに気づきはじめる。

 

 大抵、ここで母なる母星、通称オパイ星が見られていることに通常の女子なら気づいてしまい、

「最低~、もう信じられない~」

 パチン! と俺はひっぱたかれてもおかしくない展開なんだけどね。

 

 信じられないことにひかるちゃんはさ。意図的に自分を天然だと見せようとする計算高い女子ではなくてね。生粋の正真正銘の天然産女子であることが幸いしたんだよ。ひかるちゃんは下に何かあるのかなと道路を見たんだよ。何せ、俺が下の方を見ているように思えたからさ。

 

 俺はひかるちゃんよりも背が高いしね。すると何という奇跡が起きたのだろう。何という偶然が重なったのだろうか。道路に蟻の行列がずらりと並んでさ。歩いていたんだよ。もうね、俺がひかるちゃんの母なる母星見学ツアーを下向き加減で堪能していたのをね。

 

 ひかるちゃんは蟻の行列を踏まないように下を向いて歩いていた心優しい人物として解釈したみたいなんだよ。そんな都合のいい話があるかー! という苦情はいっさい受けつけませんで、ご了承ください。



 幸運なるロジック説明 完



 俺は難なくこの変態野郎マモル神宮寺というレッテルをさ。貼られるのをまぬがれたわけなんだけどね。ひかるちゃんのさらなる誘惑というか、何というか。



 ね? その後の展開はさ。推理力のある方なら察しがつくよね?



 しゃがんでいるひかるちゃんのスカートからさ。ひかるちゃんのパンツが見え隠れしているんだよ。俺の大事な部分は暴走機関車トーマスと化してしまったぁぁぁぁっぁあぁ。

「さぁマーくん、行こう」

 ひかるちゃんは蟻の大行進を見て満足したのか立ち上がったんだけどね。

 

 俺は下半身の暴走機関車トーマスが静まってくれないことにはさ。立ち上がれないし、身動きもとれないんだよ。今立ち上がると不自然な感じになるからね。まともに歩けそうにもないんだよ。

 

 それもこれもひかるちゃんがさ。ザ・オパンツを見せるからだよ。俺は邪念を消し去るようにね。俺は浅草あたりにいそうな漫才コンビ名「ザ・オパンツ」を連呼したんだよ。

 

 必死に元に戻ろう、戻そうフレー、フレーとしていたんだよ。何を戻そうとしていたかは男同士の秘密の約束だぜ! 女子には絶対内緒だよ。女子にばれたらもれなく変態と言われるからな。

「どうしたのマーくん?」

 ひかるちゃんは不思議そうな顔でね。俺を見てくるんだよ。

 

「ちょ、ま……」

 俺が言いかけた時にさ。車のクラクション音が鳴り響いたんだ。

「バカヤロウ車通れないだろ!」

 道路の真ん中でしゃがんでいる俺の目の前でね。車が止まり運転手が文句を言ってきたんだよ。

 

 やばい! 車がきた。やばいよ、やばいよ、やばいよ、やばいよ。

 って、俺は出川か。

 

 俺はやばいよ、やばいよと必死に連呼しつつさ。早く自分の大事な部分でんかのほうとうが収まるのを待っていたんだよ。

「ちょっと、待ってください。もう少し、もう少しだけ?」

 何がもう少しなんだ。何を言っているんだ俺は。どんだけテンパってんだ俺は。

 

 いらついた車の運転手はね。クラクションを2度3度と連続して鳴らしてきたんだよ。

 

 プップー。

 

 それでも動かない。厳密には動けない。もう俺、絶対絶命のピンチだわ。

「てめぇ、早くどけよ。ひき殺すぞこの野郎!」

 怒り心頭の運転手━━━━(゚∀゚)━━━━! 。

 

「本当にちょっと待ってください。すいません。すいません」

 俺はひたすら謝るしかなかったよ。顔つきからして絶対元ヤン率高そうだしさ。切れたらやばい系だと推測したんだよ。恐ろしさのあまり何とか正気せいじょうに戻り「ザ・オパンツ」の誘惑漫才から解放されたんだけどね。

 

 俺は絶対元ヤン率100%運転手に向って、

「さっきはすぐどくことができなくてすいませんでした。ちょっとめまいがして立ち上がることができませんでした。本当にすいませんでした」

 とか何とか適当な嘘をついてごまかしたんだよ。気持ち病弱そうな演技をしてさ。

 

 俺がしゃがんでいる時に暴走機関車トーマスよ止まれと願う姿が必死の形相に見えたのも幸いしてね。元ヤン運転手からはさ。

「坊主、大丈夫か?」

 と心配までしてもらったんだよ。

 

 俺は道の端っこにどいてね。

「いってらっしゃいませ」

 とおじきをしてさ。頭を下げるポーズまでとったんだ。

 ここは極道の世界ですか、そうですか。今日から元ヤン運転手の舎弟なわけないよね。元ヤン運転手は怒りが収まったのか、ププーとクラクションを鳴らし車を走らせ消えていったんだよ。

 

 あばよ、元ヤン運転手よ。もう2度と会いたくはないぜ。ふぅ~。俺はひと仕事終えたように大きくため息をついたんだけどさ。道路の端っこにいたひかるちゃんは俺に近づいてきてね。

「マーくん、さっきは格好よかったよ。蟻さんたちが道を歩き終わるの見届けるために車を通らせないようにしてたってこと。わたしはちゃんと分かってたからね。だって幼馴染だもんね。それぐらい分かるよ」

 なんて、誇らしげに頬を膨らませながら言ってくれたんだ。

 

 何ですかそのオレオレ詐欺にさ。簡単に引っかかっちゃうような勘違いっぷりは? 満足げな様子のひかるちゃんはね。どうやら真性の天然娘らしいんだよ。でもそこが可愛いんだよなぁ。俺はほっとしたのかさ。

 

「萌えつきたぜ」

 とつぶやいたんだ(漢字の意味合い違うけど)。

 

 すかさずひかるちゃんがね、

「もちつきたい?」

 なんて、聞き返してきたんだよ。

 

 もうね、やっぱりこの娘は天然だって思ったよ。こうして、何とか無事に高校に到着したんだけどさ。俺とひかるちゃんはしつこいようだどね。幼なじみで同じ高校なんだよ。1年生の時はひかるちゃんとは別々のクラスだったけどさ。2年生になり同じクラスになったんだよ。

 

 学校の陰謀により引き裂かれていた俺とひかるちゃん(たぶん)。他人はそれを誇大妄想というかもしれないけどね。けれどもな、俺とひかるちゃんが記念すべき同じクラスになった話はさ。後世まで語られる必要があるんだよ。

 

 だから俺が勝手に語りだすこと。語り部となることは必然的行為なんだよ。この物語での法律は俺なのだ。よって語っちゃうもんね。てへッ。



 かれこれ3ヶ月前の記念すべき日の話を――



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 ここは2年A組の教室。



 4月となり俺は学年が2年生になったんだけどさ。学校まではひかるちゃんといっしょに登校していたんだけどね。始業式がはじまりお互い離れ離れになったんだよ。もうね、ひかるちゃん、つかの間の夢をありがとう。俺は歌い終わりの演歌歌手が口パクでありがとうございましたと言うようにさ。

 

 ひかるちゃん、つかの間の夢をありがとうと口をパクパクさせたんだよ。そしたら見知らぬ生徒がね。俺を不審者を見るような熱視線を送ってくるんだけどさ。俺は電波じゃねぇから。俺を見るな、見るな。

 

 ただ心は演歌じゅんあいなだけなんだよ。始業式が終わってね。クラス替えが行われたんだけどさ。まさに新学期がはじまろうとしているんだよ。俺はひかるちゃんと同じクラスになったらしいことを知ったんだ。もうね、やっと巡り会えたねとひしひしと感動していたよ。こうしてまた俺とひかるの恋物語がはじまっていくんだねって……。

 

 ごらん、あの星空に流れる星たち。あの星とあの星が俺とひかるちゃんの……と物思いもうそうにふけっているとさ。

「わっ!」

 いきなり背後から何者かに大きな声をだされた。

 

第9話 待てってばを読む