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伝説の勇者なりきり部の奴ら:第10話 女優のように

 そこの女子! 人に向かって指差すんじぇねぇよ。クラス中が俺を見ているじゃねぇか。そうですか、そうですか。別れた2人が復縁する瞬間に見えますか。もうね、俺は逃げることをあきらめたんだよ。そして、ひかるちゃんに向かってさ。

「うん、ひかるちゃんずっといっしょだよ」

 なんて、クラスのみんなに誤解されるね。ニュアンスで言ってしまった~。もうね、取り返しのつかないさ。失態をしでかしてしまったんだ。

 

 あちゃー、やっちまったよ。いやはや、俺のテンパリ具合も半端ねぇっす。2人だけの言葉の習慣ってさ。何気に怖いんだよ。俺とひかるちゃんのLINEのやり取り何てね。スタンプだけで通じあえるからさ。たまにひかるちゃん、文字で「わかた」とLINEの返事くれるしね。

 

「マーくん!」

 目を潤ませたひかるちゃんがさ。俺に向かって駆けよってきたからね。もうね、ひかるちゃんのたわわに実ったものがさ。ぷるんぷるんと揺れる動いてくるんだよ。俺は思わずにやけてしまってね。それを見た女子がほら見たことかと言わんばかしにさ。

 

「どうやらもとさやに戻ったみたいね。男子神宮寺めちゃくちゃ顔にやけて喜んでいるし、これだからお子さまの恋愛は……、はぁ、やれやれだわ」

 と男女の恋愛模様を悟ったようにね。言ってきやがったんだよ。

 

 だからお前もお子さまだろうが! と言ってやりたかったけどさ。俺は何も言わない。何も言えないんじゃないんだからねッ! 担任山田がね。

「夫婦喧嘩は仲直りできたかな?」

 なんて、空気を読まずに俺たちに止めを刺すものだからさ。俺とひかるちゃんはクラス公認の幼馴染出身カップルと思われたんだ。

 

「わたしたち夫婦じゃありません。法律によって男子18歳以上、女子16歳以上にならないと結婚できませんから。マーくんはまだ16歳ですから!」

 なんて、妙に真面目に言うひかるちゃんの姿にね。クラス全体が爆笑となったんだよ。

 

 これがきっかけでさ。すんなりひかるちゃんはね。クラスに馴染んでしまう離れ業を行ってしまったんだよ。ひかるちゃんは時として冗談わらい冗談わらいとして受け止めない傾向があるからさ。まぁ、それも含めて可愛いんだけどね。俺としては幼馴染出身カップルだと思われた方がさ。ひかるちゃんに悪い虫へんなおとこがつかないわけだから……。

 

 むしろ否定することなくね。受けとめるのが良策だと悪知恵が働いたんだよ。もうね、いやーん、お代官様、やめてくださいませ。やめてくださいませ。

 誰がやめるか。

 いやーん。

 そちも悪よのうみたいな。

 へっへっへみたいな。

 

 微妙にテンションが上がっている俺に対してさ。どんな例えだよ、意味分からねぇよという突っ込みはなしの方向でお願いします。

 

 これが俺とひかるちゃんの2年A組デビュー秘話である。




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 このようなデビュー秘話があるからね。俺とひかるちゃんはクラス公認の幼馴染出身カップルと思われているみたい。だからなのかな、いっしょに教室に入ってもさ。クラス中からは好奇の目で見られることはないんだよ。

 

 くじ引きで席替えを行う際もね。妙にクラスのみんなが俺とひかるちゃんに気を遣ってさ。

「2人を離ればなれにしていいの? 私たちは2人を引き裂く共犯者れんあいあんちになってしまうのよ。もう一度、問う。2人を離ればなれにしていいの?」

 なんて、恋愛を知り尽くしてます風を装う女子がね。先頭に立って言うものだからさ。

 

「そうだ、そうだ、それだけは阻止せよ」

 と言わんばかりにクラス中が一体となってね。くじ引きに堂々たる不正をクラス公認で行ったんだよ。不正の成果は絶大なる威力でさ。結局、俺とひかるちゃんは隣同士の席となったんだ。

 

 俺的には願ったり叶ったりだったのはいうまでもないんだけどね。俺の隣の席になったひかるちゃんはさ。

「隣同士だとお昼の時、狙えるから」

 とまぁ、お馴染みのニュアンス言葉でにこりと微笑んできたんだよ。

 

 一瞬、何を狙うの? と思ったんだけどね。お昼になって母親みゆ特製手作り弁当をパカっと開けて食べているとさ。

「マーくんのハンバーグ美味しそう。ちょっと食べてみたーい?」

 なんて、言いつつね。すでにひかるちゃんの箸は俺のハンバーグをとっているみたいな現象が発生したんだよ。

 

 しかも遠慮なく丸ごとハンバーグもってかれてしまったよ。ちょっと食べてみたいどころの話じゃないだろ。少しは空気読みでさ。ハンバーグを一切れサイズにしてとるとかさぁ、そんな辞書モラルはないのかい? ひかるちゃーん。

 

 今度から母親みゆにはね。ハンバーグは必ず一切れサイズに切ってもらわないとマジ危険だよ。ひかるちゃん、遠慮なしだから半端ねぇっす。どうにもこうにもひかるちゃんはさ。母親みゆの手作り料理が大好きみたいでね。

「何だよ~、とるなよ~」

 とか俺も言いつつさ。内心嬉しかったりしてね。つかの間の俺とひかるちゃんの恋人気分を味わっているんだ。

 

 ひかるちゃんは両親が小学3年生の頃に亡くなってしまってさ。おばぁちゃんに育てられたからね。母親の味にうえていたのかもしれない。なので俺としてもひかるちゃんの食料強奪行為おかずハンティング? 何か物騒なものいいだけどね。ついつい許してしまうんだよ。

 

 むしろどんどんとっていいよみたいなさ。そんな優しい気持ちになるんだよ。例の如くあの女子がね。

「おかずを2人して、つつきあっちゃって、これだからリア充わぁ!」

 なんて、呆れ気味に言うんだけどさ。俺は知ってるぜ。お前の目は羨ましがっていると……。彼氏欲しくて仕方ないことも噂で聞いているんだからな。ふふふ。ごめん、俺とひかるちゃんはリアじゅうだから……。

 

 俺が優越感に浸りながらもね。ふと母親みゆ特製手作り弁当を見るとさ、

「あぁ! 俺のおかずが!」

「あ~、美味しかった」

 満足げに言うひかるちゃん。トホホな俺。さっきのリア充発言は前言撤回するわ。俺、やっぱリアじゅうじゃないかも!

 

 そんないつものような甘くせつないお昼休みだったんだけどね。ひかるちゃんにとってはさ、さぞかし満足なお昼休みだったろうねぇ。たらふく食べた栄養はどこへいくんだい? ひかるちゃんの吸収した栄養はどこへ行くんだい? ぐふッ♪

 

 俺の目線はひかるちゃんのたわわに実った栄養たっぷりの……おっともうこんな時間だ。



 キンコンカンコン、キンコンカンコン。

 

 キンコンカンコン、キンコンカンコン。



 昼休みはあっという間に終わっちゃたよ。チャイムが鳴り俺は授業の準備をはじめたんだけどね。次は道徳の授業なので担任山田が担当するんだよ。もうね、こないだの道徳の時間なんてさ。風の谷のナウシカ鑑賞会だったんだよ。担任山田いわく、何度見ても泣けるアニメらしいんだけどね。

 

 ひかるちゃんは、ぽかーんと鑑賞していたんだけどさ。やがて俺に向かってね。

「ねぇねぇマーくん、王蟲オームって食べたら美味しいのかな?」

 なんて、ナウシカの世界観をぶち壊す質問をしてくるんだよ。

 

 俺は返答に困ってしまったんだけどさ。

「どうだろうね。きっと王蟲オームを食べたら風の谷のナウシカが悲しむよ」

 と道徳の時間に道徳な発言をしてね。その場をやり過ごしたんだ。

 

「そうだよね。ナウシカが悲しむよね」

 妙に納得するひかるちゃん。納得したかと思うと眠りはじめるひかるちゃん。

 将来、学校の先生になろうかな、なーんて思ったけど撤回するわ。起きてーひかるちゃん? これから風の谷のナウシカの山場だよ。見応えあるよ~?

 

 すやすや眠るひかるちゃんはさ。どんな国の料理をだされてもね。きっと好き嫌いなくやっていけそうな気がするよ。こうして風の谷のナウシカの道徳の時間が終わったんだけどさ。

 

 廊下から足音が聞こえてきたんだよ。しかも担任山田が見知らぬ生徒と入ってきたんだ。そしたらね、周りがざわざわしはじめたんだよ。もうね、特に男子どもがさ。

「うひょ~」

 なんて、喜びの宴が今すぐはじまっちゃうようなね。怒涛のような歓声が教室内を駆け巡ったんだよ。

 

 見知らぬ生徒の髪の毛は金髪。

 女優のように大人びて整った顔つき。

 どの角度から見ても人目で美人と分かるようないでたち。

 もしかして芸能活動してんじゃないすか? と尋ねてもおかしくないほどの妙なオーラをはなっていたんだよ。

 

 何だ、この感じ……。

 俺はまだ名前も知らない女生徒びじんに目を奪われた。

 

第11話 小悪魔アイドル転校生を読む