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伝説の勇者なりきり部の奴ら:第13話 新入部員を勧誘せよ

 俺こと神宮寺マモルはさ。廊下に立たされた後、ひたすらひとり地蔵モードに突入したんだよ。もうね、廊下に立たされながらね。この世の中はなんて世知辛いんだって思ったよ。もうね、存在がR指定の姫野愛ひめのあいから開放されたからほっとしてたよ。

 

 しばし時間が過ぎて、放課後となったんだけどね。

 

 クラスのみんなはそそくさと帰宅していくしさ。まるで私たちには関係ないねと言わんばかりの態度だったんだよ。あれほど男子どもは姫野愛ひめのあいのアイドル的な美貌に熱狂していたんじゃないのかよ。こんな手のひら返しって何なんだよ。アイドル研究部の前田君なんてね。

「俺の青春のレンズが……」

 とつぶやいたかと思ったらさ。速攻で帰ったからな。

 

 もうね、夢破れた落ち武者かと思ったよ。前田君さ、最凶こうげきてきな恋愛に憧れないのか? もれなく姫野愛ひめのあいと恋愛できるかもしれないのにね。俺が屋上に連れてかれることなんてどうでもいいんだろうよ。

 

 それよりも危ない奴には関わらない近づかない。生贄は俺ひとりで十分だと言わんばかりに教室は極めて静かだったんだよ。ひとり、お昼寝全快で姫野愛ひめのあい異常性メンヘラをまったく知らないひかるちゃんを除いてはなんだけど……。

 

 ひかるちゃんはさ、俺と姫野愛ひめのあいの姿を見て何を思ったのかね。

「マーくん、部員の勧誘がんばってね?」

 とガッツポーズをしてきたんだよ。ひかるちゃん、何か誤解してないか?

 ひかるちゃんは俺が部活の勧誘を姫野愛ひめのあいにするものだと思いこんでいるんだよ。素晴らしいほどの思いこみであり、素敵なプラス思考だろうよ。

 

 俺も人のことは言えないけどね。俺とひかるちゃんは特に話す機会がなかったので言いそびれたけどさ。に所属しているんだよ。

 

 間違ってもコスプレ集団ではないのであしからず。現在、部員は俺とひかるちゃんだけでね。先輩が受験や就職活動で引退したために俺とひかるちゃんだけになってしまったんだ。

 

「一生に一度ぐらい部長島耕作のようになってみたい」

 と目を輝かせながらひかるちゃんがいうものだから、俺は

「それってどういうこと?」

 と尋ねると、ひかるちゃんは

「伝説の勇者なりきり部の部長になりたい!」

 と胸をはって言ってのけたんだ。

 

 その胸のはりかたはね。悩殺ポーズにもほどがあるんですけど……。

「じゃあひかるちゃんは今日から部長になるといいよ」

 と俺はあっさりと賛成したんだけどさ。厳密にはひかるちゃんの悩殺ポーズで俺の判断力は鈍っていたのもあるんだよ。

 

 ひかるちゃんは俺にとっての永遠のしずかちゃんだからね。じゃあ俺はのび太なの、ドジなの? 特技はあやとりなの? といろいろと突っ込まれそうだからさ。

 

ドラえもん~♪ ドラえもん~♪ って、鼻歌を唄ってごまかしてみたりね。我ながら俺の妄想やばいかもしれない。

 

 さて、どんな部活動をしているかというとさ。

 

 部員がという部活名がそのままの内容なんだよ。

 

 もうね、何度も言うけどね、間違ってもコスプレ集団ではないのであしからず。ただし、ひかるちゃんの勇者の格好はどうみてもコスプレだからさ。めっちゃ可愛いんだよ。

 

 そもそも俺は部活には全く興味がなくてね。第一希望は学校終わってすぐ家に帰ることのできる帰宅部希望だったんだけどさ。ある日

「マーく~ん。突然ですがじゃんけんしましょう。負けたら勝った方の願いを受け入れるの」

 と言うものだからね。

 

 俺は思わずひかるちゃんのたわわに実ったものをあわよくば触りたいみたいな、そんな不純な欲望にかられてしまってさ

「うん、やろう、やろう」

 と鼻の下をのばしちゃったりしたんだよ。ひかるちゃんが嬉しそうに

「じゃがじゃがじゃんけんぽーん」

 俺はグーをだしたんだけどね。

 

 ひかるちゃんパーをだしてきやがったんだよ。

 えっ? 何この展開?

「やった~、勝った~。マーくんがグーだすんじゃないかと思ったんだ」

 喜んで飛び上がるひかるちゃん。

 

 明らかに俺がグーだしたのを確認してからひかるちゃんパーだしたでしょ。ただ、ひかるちゃんの場合はさ。自覚症状けいさんなしにそういうことを平気でしてしまう娘なんだよ。

 

 だから文句を言うことができなかったんだ。不正を行った本人が不正なことをしたと認識していない非常にやっかいな状態とでも言うのかな。

 

 それにあんなにも嬉しそうに喜こんでね。飛び上がった時のたわわに実ったひかるちゃんのあれの揺れがもうたまらなくてさ。ある意味、それは俺がジャンケンで負けなければ、あんな揺れ揺れな官能的R指定なリズムは体験することもできなくてね。

 

 俺の思考回路は正常じゃなくなっちゃって、ぶっちゃけ崩壊寸前で

「ひかるちゃん、俺負けちゃったよ。あはははは」

 と笑いつつさ。視線はしっかりひかるちゃんの揺れ揺れプリンを確認する罪深き男に成り下がりましたぁ。本当にごちなりましたぁ。

 

 ぷっちんむにゅむにゅプリンとても美味しかったです。

「じゃあ負けたマーくんはわたしが活動しているに入部ね」

 そうひかるちゃんは言うとさ

「これでわたしは勇者ができる~♪ これでわたしは勇者ができる~♪」

 と鼻歌を唄いながらスキップしてどこかへ消えていってしまったんだよ。

 

 俺は奇妙な鼻歌だなと思いながらもね。ひかるちゃんの後ろ姿を見送るしかできなかったんだ。

 

 俺の視力は2.0あるので、ひかるちゃんが女子トイレに入っていったのを確認できたよ。

 

 トイレがまんしてたんだね、ひかるちゃん……。

 

 そんなジャンケン入部事件があってさ。部活動はというとね。 毎回ひかるちゃんは勇者を担当してるんだよ。俺は魔王もしくは町人Aとかをやらされているんだ。今ではさ

「とうとう勇者ひかるよ、我が魔城ぶしつにやってきたな。どうだ? わしの手下にならぬか? そしたら世界の半分をやろう? どうかね?」

「魔王マモルよ、わたしは伝説の勇者だ。そんな誘惑にはのらん。魔王よ、覚悟せよ」

 というお決まりのやり取りから始まってさ。を手馴れた感じでこなしているありさまなんだよ。

 

 あまりにもマンネリ化してきたからね

「勇者ひかるよ、母親みゆお手製のハンバーグをおまけでつけるがどうかね? 手下になるかね?」

 とアドリブをかますとさ

「うん、分かった。手下になるよ」

 とあっけなく魔王の軍門に入るひかるちゃん。

 

 え? 世界の存亡を賭けた闘いってね。母親みゆ特製ハンバーグで簡単に終わっちゃうの? それでいいんすかひかるちゃん。てなやり取りがあるんだよ。ひかるちゃんどんだけハンバーグ好きなんだよ。

 

 そんなこんなでひかるちゃん的にはさ。さっそく俺が姫野愛ひめのあいを伝説の勇者なりきり部に勧誘するんじゃないかと思っているんだよ。

 

 大いなる勘違いだよ、ひかるちゃん。俺はある意味、姫野愛に屋上という名の牢獄に拉致られたわけだからね。

 

 そりゃ教室での姫野愛ひめのあいの会話のやり取りをさ。ひかるちゃんは眠っていて知らなかったから勘違いしてもしかたがないかもしれないけどね。

 

 普通に勧誘するにしてもわざわざ人気のない屋上に連れてかないでしょ、というか。むしろひかるちゃんも部長なんだし勧誘に参加すればいいじゃないか!

 

 勧誘?

 今でしょ?

 俺は今でしょ先生はやしおさむか。それでもひかるちゃんは

「伝説の勇者なりきり部にみんなが待ってるから部長としてはね、いろいろあるんだよ」

 とか何とか口をぷいっと尖らしながら部室に行ってしまった。あのう部員、俺とひかるちゃんだけなんですけど……。

 

 他に誰かいるの?

 ひかるちゃんだけにしか見えない妖精でもいるのか~い?

 ひかるちゃんが消えていく姿を見送りながらさ。俺の視力は2.0あるので女子トイレにひかるちゃんが駆け込む姿が見えたよ。

 

 ひかるちゃんのいろいろの中にはトイレに行くことも含まれていたんだね。バファリンの半分に優しさが含まれているようにさ。

 

 ひかるちゃん、ちゃんとすっきりしてくるんだよ。トイレの後は手洗いを忘れずにね。寝る前には歯を磨けよ。俺はひかるちゃんの何なんだよ。

 

 そんなひかるちゃんとのやり取りがあってさ。俺は姫野愛ひめのあいと屋上へ向かっていくことになったんだ。

 

第14話 屋上で突然の告白を読む