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伝説の勇者なりきり部の奴ら:第22話 汚い手口

 魔王ハンプティのツバという名のおつゆがね。テーブルに置かれている母親みゆの豪華料理の数々にさ。隠し味的にドバドバ~っと、ちりばめられた瞬間を見てもうた~。

「「「あッ!」」」

 俺にしても、ひかるちゃんにしても、姫野愛ひめのあいにしてもね。最悪の黒歴史がたった今起きたと言わんばかりに唖然としたよ。大富豪で言う革命が起きた感じとでも言うのかな。

 

「あ~、美味しそうな料理が魔王のツバで台無しだぁ~。今までいろんな魔王をやっつけてきたけれど、こんな極悪非道な魔王をはじめて見たぁ~」

 なんて、ひかるちゃんはぷんぷんぷんと怒りながら言ったんだけどね。ひかるちゃんの怒っている顔はとても可愛らしくてさ。俺はついつい見とれてしまったんだよ。もうね、ひかるちゃんを見ながらご飯何杯でも食べれるわ(ちょと言い過ぎたかも)。

 

 ちなみにひかるちゃんの倒してきた魔王について説明しよう! 毎回、いろいろなタイプの魔王役をやる俺のことなんだけどな。ふふふ。二人三脚で愛を育んでますよ。ふふふ。

地球ここの料理はどんなものか楽しみにしていたのに、魔王ハンプティは絶対にゆるさん!」

 いつになく感情をあらわにして怒る姫野愛ひめのあい。おそらく地球の料理をよっぽど楽しみにしていたのだろうよ。

 

 天界でどんな食事をしてきたのか知らないけどね。地球ここの料理はうまいぞ~。母親みゆの料理はうまいぞ~。こっちの水は甘いぞ~。姫野愛ひめのあい、ホタル扱いだな。もうね、そんな俺の妄想をかき消すようにさ。姫野愛ひめのあいは俺をキィーと睨んでくるんだよ。もちろん怯える俺。口笛を吹いてごまかす俺。

 

 これ以上、姫野愛ひめのあいの怒りのボーダーを越えたらね。姫野愛ひめのあいから鉄拳が飛んできそうだからさ。身の危険を感じた俺はね。すいましぇーん、少し調子に乗りすぎていたみたいっす。もうしましぇーんとひたすら謝りつつ、

「ったくよう。母親みゆの料理が魔王のおつゆで台無しじゃねぇかよ。全部この魔王ハンプティのせいだ。この責任どうしてくれるんだよ」

 

 なんて、姫野愛ひめのあいの怒りの矛先を魔王ハンプティに向けさせるべくね。言ってやったんだよ。魔王ハンプティのせいだと強調して言ってやったね。あぁ、すっきりした。すると魔王ハンプティは頬を赤らめながらさ。

「分かっただ。おらの身体で責任とるだよ。さあ好きなようにしてくんろ。ベッドでは電気を消して優しくしてくんろ。あんた、おらの初恋の相手に似てるだよ」

 なんて、イナゴの大群が畑を荒らしまくるようなね。末恐ろしいキモいことを言ってきやがったんだよ。もうね、頭のネジを魔界に置き忘れてきたんじゃねぇのって思ったよ。

 

「神宮寺、お言葉に甘えてってきなさい!」

 なんて、姫野愛ひめのあいはいじ悪く俺の肩を叩いてきたんだけどさ。

「こんなキモいおっさんと何で俺がベッドを共にしないといけないんだよ!」

 俺は慌てて否定したよ。そこで俺までYESなんて言った日にはね。俺は地球に頭のネジを置き忘れた第1号になってしまうでしょ。

 

「マーくん、この魔王ハンプティとおとまり会するの?」

 なんて、ひかるちゃんは不思議そうに言ってくるんだけどね。

「いや、違う……そんなわけねぇっす……」

 なんて、俺はしどろもどろになってしまったよ。ひかるちゃん、あなたどんだけ天然娘なんですか! でも、ひかるちゃんは可愛いから許すっす~♪

 

 そんな俺の妄想を打ち消すようにさ。番狂わせな魔王ハンプティの言動に俺は振り回されたんだけどね。魔王ハンプティの熱い視線が俺に向けられるのを感じるんだよ。魔王ハンプティは口を尖らせ目を閉じてきやがった。しかも俺に向って両手を広げてきたんだよ。

マイダーリン神宮寺! キモいキモいも好きのうち。さあ怖がらないで甘くて熱い口づけをするだよ」

 なんて、甘えた声で言ってきやがった。

「お前どんだけプラス思考なんだよ!」

 俺は叫んだ。オオカミがワオーンって鳴いている気持ちが分かったぐらいだよ。もうね、俺も人のことは言えないけどさ。こんなプラス思考の魔王初めて見たわ。

 

 思わず珍獣を発見したような感じで魔王ハンプティを見たんだけどね。魔王ハンプティの口の尖らせ具合はさ。まるでひょっとこみたいなんだよ。ひょっとこの仮面つけなくても日向ひょっとこ夏祭りに参加できるぜと教えてやりたいぐらいだよ。

 

 さっきまで怒っていたひかるちゃんはね。ひょっとこ風の魔王ハンプティの姿が笑いのつぼに入ったらしくてさ。顔を真っ赤にして笑っているんだよ。

「ひょっとこ魔王、マジうける~(笑)」

 なんて、ひかるちゃんはゲラゲラ状態なんだよ。笑いは伝染してね。俺も顔を真っ赤にして笑いはじめたんだ。姫野愛ひめのあいに関してはさ。思いっきり、

「キモ可笑しい」

 なんて、あざけるようにわらったんだよ。すると魔王ハンプティはね。

 

「笑うでねぇ、嗤うでねぇ、(* ´艸`)クスクスでねぇ!」

 なんて、だだをこねる子供のように足をジタバタさせているんだよ。目は涙目だったよ。いったいお前はいくつなんだよと思わずツッコミを入れたくなったけどさ。姫野愛ひめのあいが明らかに冷めた目つきでね。

「あのさ、どうでもいいけど魔王あんたさ。何しにきたのかしらね?」

 なんて、物事の本質をつくように魔王ハンプティに言い放ったんだ。

 

 魔王ハンプティは真っ赤にさせた顔でさ。恥ずかしそうな目つきで指をもじもじさせながらね。

「恋人を作りにきただよ」

 なんて、つぶやいたんだよ。

「「は?」」

 俺と姫野愛ひめのあいはお互いに顔を見合わせる。

「「は?」」

 確かめ合うようにさ。もう一度お互いに顔を見合わせたよ。もうね、ひかるちゃんに関してはね。魔王ハンプティは何を言ってるんだろうという表情で見ていたよ。理解不能な魔王ハンプティの言動。キモイいでたち。

 

 魔王ハンプティよ。恋人を作りにきたですと? 魔王だけに世界征服しにきたとかさ、世界を破滅させにきたとかね。そんな発言を期待してたのに裏切られたような気がしたんだ。恋人を作りにきただと? 何ほざいてんだバカ野郎~!

 

 俺が妄想にふけっているとさ。魔王ハンプティはさらに指をもじもじさせながらね。

「恋人は神宮寺マモルにすることに今決めただよ」

 なんて、頬を赤らめながら言ってきやがった。

「は?」

 俺は驚愕の表情でさ。これでもかと言わんばかしに叫んだよ。しかも鳥肌が、じんましんが、瞬間的な精神的ストレスに犯されたじゃねぇーか。

 

「神宮寺マモルを恋人にし、『はてしない英雄物語』の世界に連れて行き、2人はそこでラブリーラブリーに暮らすの。ねぇ、マモル? 分かってるでしょ。乙女からそんなこと言わせないで。いやん」

 なんて、魔王ハンプティは俺にウィンクをしてきやがった。

 

「うぇ」

 魔王ハンプティの会心の一撃! 俺は目を背けることしかできなかった。マジキモいんですけど魔王ハンプティ。もうね、俺は歩いてたら犬のウンコ踏んじゃったみたいな苦虫をかみつぶしたような表情になったからね。

 

「じゃあ、神宮寺、魔王ハンプティとお幸せに!」

 なんて、手を振る姫野愛ひめのあい。心なしかドナドナを嬉しそうに鼻歌で唄っている姫野愛ひめのあい♪♪♪♪♪♪

「てめぇ、俺を売られていく子牛に見立てるな。ドナドナを嬉しそうに鼻歌で唄うんじゃねぇよ」

 マジサディスティックな姫野愛ひめのあい。とんでもなく限りなくSに近い女だよ。そこへひかるちゃんもドナドナの鼻歌で登場してきたんだよ。きっとつられて鼻歌唄っているだけだよね? ひかるちゃん? でも、ひかるちゃん、何か様子がおかしいんだよ。

 

「魔王ハンプティ! マーくんを変な世界に連れて行ったらだめ~。マーくは、マーくんは、ひかるのマーくんなの!」

 なんて、ひかるちゃんは叫ぶように言ったんだよ。いつもとは違ってさ。ひかるちゃんは瞳に涙を浮かべているようにも見えたんだ。それは俺の見間違いなのかもしれないしね。気のせいなのかもしれない。魔王ハンプティは一転して鋭い目つきになるとさ。

 

「ほほう、小娘ひかる。今、何と言っただ? 何と言っただ? ひかるのマーくん? 笑わせるでねぇ。神宮寺マモルはおらだけのマーくんになるだよ。邪魔者は消すだ。とりあえず正々堂々と戦うため、そこの小娘ひかる、おらと握手するだよ」

 なんて、ひかるちゃんに向かって魔王ハンプティは脂ぎった手を差しだしてきたんだよ。ひかるちゃんは何が何だが分からないままね。

 

「正々堂々と戦いましょう。はい握手です」

 なんて、つぶやいてさ。魔王ハンプティと握手をしたんだよ。

 その刹那、魔王ハンプティはね。

「引っかかったな!」

 と叫ぶとさ。

「―●―【転がる石のようにコロコロとなーれい】―●―」

 なんて、呪文をつぶやいたんだ。ひかるちゃんから、

 

「あっ」

 と声が聞こえたかと思うとね。みるみるひかるちゃんは石になっていく。オーマイガー。ひかるちゃんが石化してしまった~~。俺はあまりの一瞬の出来事にさ。言葉を失ってしまったよ。魔王ハンプティの言動、バニーガールのいでたちに笑っていた俺がバカだった。あまりにも俺は能天気すぎたんだ。

 

 奴は正真正銘の魔王げどうだったんだよ。魔王ハンプティは何事もなかったかのように俺を見るとね。

「さぁ新しい2人の愛の物語の世界にいくだよ」

 と微笑んだ。

 

第23話 愛の巣を読む